今回はキャロル・グラックさんの「戦争の記憶」を読んでみました。コロンビア大学の教授が学生との対話を通じて「歴史」と「記憶」の意味を探っていく本です。

「歴史」と「記憶」の違い

この本は、同じ歴史でも、みんなの記憶は違う、ということを考える本でした。国や地域によってイメージするものが全く違う。

例えば、「第二次世界大戦」と聞いたら何を思い浮かべますか?

アメリカ人だと「パールハーバー」と言うかもしれない。

日本人だと「原爆」「敗戦」というかも知れない。

ヨーロッパの人だとナチスやホロコーストだったり、地域や人によって「記憶」が異なっていると。

アメリカ人にとってはパールハーバー、奇襲攻撃の記憶。卑怯な奇襲をされて開戦したという印象が第一にくる。

逆に日本は原爆・敗戦が最初に想起され、そこからの物語が展開される。

しかし、それゆえに歴史が第二次世界大戦が太平洋戦争から始まってるような印象を持ってしまい、その前からずっと続いている日中戦争が忘れ去られてしまっている。

というように、歴史と記憶の違いを学生との対話形式で読みやすく書かれてある本でした。

非常に考えさせられます。

なにが歴史の真実か、を知ろうとすることも重要だと思います。でも教科書で学んだそれは各国の教科書の書き方によって異なってしまう。

なので色々な情報から学ぶ必要がある。

でもこの本で言いたいのはおそらく、どれが真実か、ではなく、「それぞれの記憶はどんなものか?」を知ることが大事、ということなのかなと。

これは戦争に限らず、日常生活でもそうだと思う。

事実がどうとか、効率がどうとか、そんな話をしても話が進まない。
なぜならそれぞれの人が経験している「記憶」が違うから。

相手が何を記憶してそれを元に行動しているのか。
それを理解することが最も大切なのではないか、と考えさせられました。