先日、大阪のとある建設会社さんから、こんなご相談をいただきました。

「案件ごとの見積・受発注・請求が、Excelとメールと紙で散らばっていて、粗利がリアルタイムで見えない」

伺ってみると、内装改修や原状復旧を中心にやられている会社で、業務の流れは大きくこう並んでいました。

現地調査 → 見積 → 受注 → 下請への発注 → 工事 → 請求 → 損益管理

これらがそれぞれ違うExcel/紙/メール/LINEで回っていて、案件全体が1画面で見えない、という状態です。建設業ではよくある光景だと思います。

そこで弊社では、この業務フロー全体を1つのWebアプリにまとめるプロトタイプを作ってみました。今回はその話を書いてみたいと思います。

何を作ったのか

一言で言うと、建設業(特に改修・リフォーム系)の中小企業向けの業務SaaSです。

作ったものの中身を並べてみます。

  • 案件を1つ登録すると、その配下に 現調メモ・写真・図面・見積・受注・下請発注・請求書 がぶら下がる
  • 見積の数字がそのまま 受注 → 請求書ドラフト に流れる
  • 業者見積と発注金額の差から、粗利率が自動計算 される
  • 月次の出来高が、そのまま請求書の元データになる
  • PCでもスマホでも、同じ画面が使える

案件詳細画面を開くと、その案件に関する全データが縦に並んでいるので、営業も現場担当も経理も、同じ画面を見ながら仕事ができるようになっています。

地味な変化ですが、実はここが一番大きいと思っています。

なぜプロトタイプから作ったのか

正直に言うと、この手のシステムは既にたくさんあります。

  • ANDPAD
  • kintone のカスタム
  • PROCES.S
  • みつもりくん

などなど、建設業向けのシステムは選択肢が豊富です。

しかし、実際に現場のヒアリングをしていると、

「うちの業務にはちょっと合わない」 「一部は使ってるけど、そこから先はExcelに戻る」

という声を本当によく聞きます。

理由はシンプルで、業務のやり方が会社ごとに違うからです。

  • ある会社は、追加工事のたびに見積を切り直す。
  • ある会社は、当初契約に増減で対応する。
  • ある会社は、月次で出来高請求する。
  • ある会社は、完工時に一括請求する。
  • ある会社は、業者見積を必ず取る。
  • ある会社は、口頭発注で回している。

「案件 → 見積 → 発注 → 請求」という骨格は同じでも、その運用は本当に会社ごとに違います。

汎用SaaSはこの多様性を吸収しきれず、結局Excelに戻ってしまう。これが、現場で何度も見てきた光景です。

だから今回は、「その会社の運用に合わせて作る」という前提で、まずプロトタイプを立ち上げてみました。実際に触れる画面を見せながら、お客さんと「ここはこう」「これは要らない」を1つずつ確認していく進め方です。

建設業以外にも、同じ骨格の仕事はたくさんあります

面白いのは、この「案件を受け → 外注し → 原価を管理し → 請求する」という骨格が、実は業界を超えて似ていることです。

たとえば、こんな業種です。

  • 印刷・看板業:1案件を受け、製版・印刷・加工の業者に外注し、納品して請求。
  • イベント・展示装飾業:1イベントを受け、会場・設営・音響を外注し、終わったら請求。
  • Web制作・システム開発:1プロジェクトを受け、エンジニアやデザイナーに外注し、納品して請求。
  • 士業・コンサル(案件型):1案件を受け、提携専門家と組み、成果物を納品して請求。
  • リフォーム・修繕:1物件を受け、複数の職人・業者に外注し、完工して請求。

業界が違えばやる内容も違いますが、業務の骨格はだいたい同じです。

なので、今回作った仕組みは、そのまま他の業種にも転用しやすい。「うちの業務にも近いかも」と思われた方は、たぶんかなり近いと思います。

「中小企業の専用SaaS」がやっと現実的になった

ここが今回一番書きたかったところです。

これまで、中小企業が業務システムを持とうとすると、選択肢は基本的に2つしかありませんでした。

  1. 既製のSaaSを買う ── 安いけど自社の業務に合わない。
  2. フルスクラッチで作る ── 合うけど数千万円かかる。

大企業なら②が現実的でしたが、中小企業には手が出ませんでした。だから多くの会社は仕方なく①を選び、業務をシステムに合わせて我慢するか、結局Excelに戻るかしていた。これが実態だと思います。

しかし、ここ1〜2年で状況が変わってきました。

  • AIによる開発支援
  • ノーコード・ローコードの成熟
  • クラウド基盤の低価格化
  • 既存SaaSとの API 連携

これらを組み合わせることで、「その会社専用のSaaS」を、驚くほど短期間・低コストで立ち上げられるようになってきています。

弊社ではこれを 「専用SaaS」 と呼んでいて、これからの中小企業のシステム導入の中心になっていくと考えています。

  • 汎用SaaSではない。
  • でも、フルスクラッチの受託開発でもない。
  • 共通基盤・共通部品・導入ノウハウを土台にしつつ、業務にぴったり合わせて構築する。

今回の建設業向けプロトタイプも、この考え方で立ち上げました。

業務ヒアリング → 動くプロトタイプ → お客さんとレビュー → 修正、というサイクルを短く回すことで、要件定義と設計を「動く画面を見ながら」進められるようになっています。

「なんとなく良さそう」で発注して、完成品を見たら違った、という昔ながらの失敗が起きにくい。これが専用SaaSの一番大事な特徴だと思います。

まとめ

  • 建設業の中小企業向けに、業務フロー全体を1画面にまとめる 専用SaaSプロトタイプ を作った。
  • 「案件 → 見積 → 受発注 → 請求 → 損益」という骨格は、印刷・イベント・Web制作・士業などの受注型ビジネスにもそのまま転用できる。
  • 中小企業でも、AI・クラウド・既存SaaSの組み合わせで、自社専用のSaaSが現実的なコストで作れる時代になった。
  • 「業務をシステムに合わせる」から、「業務に合わせてシステムを作る」への転換期。

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「うちの業務も、Excelとメールで散らばっていて集約したい」 「既製のSaaSを試したけど、うちには合わなかった」 「中小企業でも専用SaaSを持てるなら興味がある」

そんな方は、ぜひ一度お話しさせてください。

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