今回は人にオススメされて、初めて遠藤周作の作品を読んでみました。「海と毒薬」です。海と毒薬:あらすじ第二次世界大戦末期の日本を舞台にした作品です。物語の中心となるのは、大学病院で行われたアメリカ人捕虜に対する生体解剖事件。主人公は、医学生の勝呂や、彼と関わる医師・同僚たちです。彼らは戦争末期という極限状態の中で、「医学の発展のため」「命令だから仕方がない」という大義名分を持ちながらも、捕虜を解剖することに加担していきます。勝呂自身は当初、事件に強く反発するわけでもなく、流されるように参加してしまう。しかし、彼の中には「これは人間としてしてはならないことだ」という葛藤や、自己嫌悪、無力感が渦巻いていきます。感想生々しい、、、と思いました。本当に生々しくおぞましいと感じました。ただ、こういう心の描写はどんな物語にもありますよね。構図は至ってシンプルです。簡単にいうと、「本当はやってはいけないことだってわかってるのに流されてやってしまった」というすごくシンプルな話です。人生で誰もが経験してるし、あらゆる物語にもありますよね。ただ、描写があまりにも生々しい。。リアルな戦後の日本を描きその背景の中で物語が進んでいく。その中で最終的に実験のために人間の肺を手術で取り除き、そして捕虜は死亡する。まるで自分の肺が取り除かれるようなおぞましい感覚がありました。何を思えばいいのかわからない。もう1人の医者の戸田が、この実験で数千人の命が救われたとするなら、この命は殺したのではなく生かしたのだ、と言う。その通りだ。もしAIならそのような結論をつけるのだろうか。目先の命より全体の命。長期的な視点。ただとてもじゃないけれども割り切れない、そんな感覚。自分も同じ局面になってしまえば、同じように流されてしまうかもしれない。それでも、義を見てせざるは勇なきなりで、命をかけて断りたい、と思う。